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’由緒ある’人間の例然り、犬の純血種然り、なぜ人間は最高峰の存在(と勝手ながら位置づけているもの)を不動にしたがるのか疑問であったが、先日読んだ書物にこのような一節を見つけた。

   20世紀の初頭に、世界の30ヵ国を超える国々で 遺伝現象を応用して人類の改良を計る科学であると自称する優生学という名前の学問が大流行した 

            有り体に言えば 良い血筋を作る術という意味である

中世の暗黒時代ではなく、たかだか100年ほど前の人間の発想である。

 

「繁栄」を種の存続と捉えるか、容姿や家系・共同体の維持と捉えるか。

「歴史」をこの地球上すべての生物のものとするか、人間独自のものとするか。

そもそも優だの劣だの、正だの異だの。

今、少しは転換期なのだろうか。どうだろう。

 

 

〈引用文献〉

アダムズ・マークB(1998)、比較「優生学」史 独・仏・伯・露における「良き血筋を作る術」の展開、東京都、現代書店

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