橙(だいだい)という名

犬には「橙(だいだい)」と名をつけた。

白い犬なのに、橙(だいだい)。それで、短く「だい」とか「だいちゃん」と呼んだりする。愛称も含めてなかなかいい名前ではなかろうか。

 

だいだいがわが家に来てからまもなく2ヶ月経つ。

初めて会った日の印象は、痩せ細った黄色い犬。

栄養失調で、本来真っ白のはずの毛色が全身黄色くなっていた。

 

でも、わが家に来た日の翌朝の庭で、

こいつは橙色の犬になった。

朝陽の光線が黄色く傷んだ毛色を透かしてそりゃもう綺麗な橙色の犬。太陽の犬。

「おまえはこれから橙(だいだい)だからな」と声をかけた。

 

耳の先やお尻、尾っぽには今もまだ黄色みが残るがそれも

朝の散歩に連れ出せば太陽をまとういい色になる。

光属性のハッピーな性格のこいつにぴったり。

 

「だい~」

にっこにっこと振り返る。

いい名前でしょう。

 

でも、新しいご家族さんに出会えたら、また新しく一生の名前をつけてもらうこと。

それが一番の、宝物の名前になるからね。