仕掛絵本を拾うと嬉しくなる。
理由は簡単で、滅多に手にする機会がないから。
文字だけの冊本ならこの島に限らず、大陸をただよい歩くときであっても
数限りなくどこででも拾うことができる。が、
仕掛絵本となるとこれまで1,000もあるかないかだ。
大判の本をひらけば、哺乳類や鳥、昆虫や爬虫類、両生類などのそれぞれの顔が
各ページいっぱいにどんと現れる。
私はそれらの絵が全く色褪せていないことをまず喜び、
ページ表面にふれて適切な防水加工を確認してはまた喜んだ。
それぞれの動物の目には、観音扉のような一対の頁が目の部分にのみ重ねられており
この仕掛けを両手指でつまんでひらけば
それらの動物の視覚がどのように世界を捉えているのかがわかるようになっている。
犬などの哺乳動物は赤を認識できないため、全体的に緑、黄色が強い。
視力や視界の広さ/せまさもよく表されている。
鳥は紫外線も可視でき、色も視力も鮮明だ。
虫の複眼では世界が紫外線が色濃く映り、
ヘビの一部は赤外線を認識し、コウモリやイルカは音の反響を見る。
カエルやカタツムリなどは捕食動物などの脅威の影や動きが把握できる程度で
それゆえに大量の卵が必要であるのがよくわかる。生き抜くにおいて不利な状況を数で圧倒する。
ミミズにいたっては光のみを感知する。つまり世界は黒一面か白一点。
私たちの世界は端から私たちのものではなかった。
自分の見る限りがすべてであると?
世界は一元であると誰が決めたか。
認識世界は地球が生まれて以来ずっと複層的であったのに。
仕掛絵本図鑑 動物の見ている世界 | ギヨーム・デュプラ, 渡辺 滋人 |本 | 通販 | Amazon