からむしの記④

からむしの記④

先月は母方の曾祖母の命日だったので、
先日母と墓参りに行ってきた。

幼い私から見た曾祖母は、
何となく近寄りがたい存在だった。
それは多分、祖父母よりさらに訛りが強くて
言葉が全く聞き取れなかったこともあるし、
いつも何かしら立ち働いていたので、その佇まいに対し無邪気には話しかけにくかったのだと思う。

大学進学した後の曾祖母の印象も
以前とあまり変わらなかったが、
家計を支える農作業の大きな仕事は
祖父母にほとんど譲ったように見えた。
その代わり、敷地内のどこかに屈んでは、
いつでもせっせと草むしりをしていた。

その曾祖母が、この集落で一番最後までからむしをやっていた人間だと知ったのはつい最近。
もちろん、私が突然からむしなんぞに興味を持ったからこそ知り得た情報である。

―― 言われてみれば、いつも隅のほうで、小刀もって木の皮をながぁく剥いでたな

結婚して家を出るまでずっと曾祖母と暮らしていた母も、思い出したようにこんなことを言う。

三十を過ぎた今になって、
もう一度、今度はちゃんと、曾祖母と話してみたいとこれほど思うとは思わなかった。
けど、それはもう叶わないこと。
仕方がないから、曾祖母のまわりにいた祖父母や集落の方から話を聞き、探り探りやっていくしかない。

曾祖母の墓前で手を合わせる私の傍らで、
突然母が思い出したように草むしりを始めた。

ひいばあちゃんもいつもそれやってたよね、
と言うと、

そう。だからね、今のこの生え方を見たら、
すごく気になってるんじゃないかと思って、

と答えた。

私もまた、忘れていた記憶に呼び起こされて、
からむしを始めたのかもしれない。