愛犬と林道を散歩していると、褐色の枯葉の絨毯の上に見慣れぬ小枝が落ちていた。
まだひらいたばかりの眩しいような葉の付き方は互生。
葉のギザ縁の先端には温むような白い産毛がある。
葉裏を見れば、葉脈は白すじ、そのすじを折れ線にしてアコーディオンのように折りたためる柔らかさが面白い。
葉とは異なる褐色のこれは萼だろうか。
その萼の元から生えるようにして白毛の生えたつたなき糸がたれさがり、その先に花なのか種なのかは判別できぬ房がついている。
枝ぶりをみれば紅褐色で、それだけを見ると桜のようにも見えるのだが、いやいや似て非なり、とも思えてくる。
そこで顔を上げて、頭上の木々を見た。
けれど、背の高い樹ばかりが連なるばかりでそのいずれもが、これほど葉をつけるまでには至っていないようだ。
これはいったい何の植物だろう。
しかも、である。
よくよくまわりを見てみると、この小枝があたりに散乱しているのである。
どれも10~15センチほどの長さで、その断面はちぎられたようにも見える。
この若い枝先たちをぶちりと断ったのは、嘴だろうか、歯だろうか、それとも昆虫の顎だろうか。
巣をつくるのか?何かを食べた後なのか?それとも私が想像もつかないような何かのために?
当てがないので、また真上を見上げるのだが、木立は先ほどと同じく風にゆらぎ、これらを散らした誰だかも一向わからなかった。