ツキノワグマ

可愛らしくて見るのが楽しみなのである。

深刻さとゆるさが程よい。

人的被害の赤熊がちゃんとこわい顔なのもよい。

 

近場の山へ犬の散歩に出かけた。

今年は町中でも油断ならないので、

行き慣れた低山だし日中であったが熊鈴を持ち、

ついでにSpotifyをがちゃがちゃ流しながら出かけた。

 

山頂に近づくと、見慣れた山林部がごっそり伐採されていた。

規律正しく丸太が積まれ、並べられ、山肌が丸出しである。

重機の唸る音が絶え間なく続く。

 

これほどの轟音であれば熊も近づくまい。ましてこれほど晒されては。

私は音源を停め、変わる景色を横目に歩き続けた。

 

熊は今度は、どこへ行くのだろうか。

 

 

 

ツキノワグマ