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鼻行目(Rhinogradentia)

かつて、地球上のハイアイアイ群島にのみ生息していた動物種のグループである。

1941年まで発見されることなく、隔絶されたこの群島のみで子孫を絶やさず生き永らえていたらしい。

20世紀を越えてさえ新たな哺乳類が見つかったことに当時の人類は喜び、驚き、歓迎したようである。

 

私には図れない。

このような動物たちが本当にいた記録として読むべきか、

それとも真面目なユーモアに満ちた学術書のお面をつけた創作物として読むべきだったか。

 

2308年、かつて生き物の宝庫と呼ばれていた群島がついに海抜300メートルの水底に沈んだ。

そこに生きる生物たちもおそらく半数は絶えたろう。鼻行目の本同様、今やあるのは記録だけだ。

 

ハイアイアイ諸島。

沈む島々をいくつも目撃してきた私だが、だからこそ、これまでの読者のうちで最も惑わされていることを自覚している。

 

鼻行類 (平凡社ライブラリー) | ハラルト シュテュンプケ, Stumpke,Harard, 敏隆, 日高, 節子, 羽田 |本 | 通販 | Amazon