現象・雪よ

穂の名からの熱視線(圧力)。

ううむ、天気が悪いがそうも言っていられないかと車に乗せていつもの公園へ散歩に出る。

ところが走り始めて早々に、1月下旬だというのに雨、雨、雨だ。

あいにく雨用の備えはもたずに出てきてしまった。

濡れた犬を車に乗せると車内はしばらく臭いのだ。

ううむ。

今日は車に乗せたままで、買い出しだけにしておくか?

穂の名はむすくれるだろうが。(むすくれる、は方言なのだそうですね)

 

とはいえ、とういんういん働くウィンカーごしに空を見る。

ごううごううと、風が鳴っている音がする。上空は随分と冷えているみたいだ。

これが雪に変われば、わりに悪くない天気だな。

事実、少し走らせただけでも霙になってきたし、もう少し冷えればぼたぼたとした湿った雪に変わるかもしれない。

 

私は結局、むすくれた穂の名よりにこにこした穂の名の顔を見たいがために

霙決行で公園に降りたった。

 

空から落ちる。水。

というのは不思議なもので

私たちの感情とは一切合切一線を画し、

いかに私たちがその姿に心を映して情景を歌に変えようと

これらの水は、ただ気温の変化の現象に任せて形を変えて、私のまぶたに落ちてくるのみ。

その冷たさに気が付いたとき、自然との付き合い方がまた少し変わった気がする。

 

雨を覚悟で歩いたが、そうは言っても枯れ木や枯れ葉に水滴が弾かれる音というのは

小気味がよくて楽しい。

天気が悪いので、私と穂の名以外はだあれもおらず、音だけが楽しむ。

ぱちぱち、ぱらぱら。

はらはら、ぐしゃぐしゃ、ぴちぴつ。霙がまじり。

んたたた、たたたん、雹か何か、氷のかたさのような音がして。

びちゃびちゃとしめ雪。

ふぁらふぁらふぁらふぁふら雪に変わって

白は無音。となるはずが

今日はまた雨に戻ってしまった。

ぱちぱち、ぱらぱら。葉が弾く。暖かい冬だこと。