わが家の天井裏がまた、何やらあわただしい。
ハクビシンが居候の身のつつましさをすっかり忘れて、どたどたどたどた真っ昼間でさえ
足音をしのび隠さない。
思い当たることがある。ああ、春か。
子育てがそろそろ始まるのかもしれない。
カラスも春になってから、どうも様子が違う。
車や歩行者などに目もくれず、同種の敵を追い払っているシーンをよく見かける。
一度や二度、互いに相手のカラスしか見えていないので
あまりに低空飛行すぎて運転している私の車にぶつかるかと思った。
ちょうど巣づくりの時期なので、ぴりぴりしているのだろう。
時折、とんびも巻き込まれていて、迫力がある。
とんびもとんびで、忙しい。
高速道路にのって、北上していたら
オレンジがかった小さなからだが横たわっていた。貂だ。もちろん死んでいる。
なぜ獲物もなにもなさそうな高速道路二車線を渡り切ろうと思ったのか、
普段の貂が生きる環境とは似ても似つかぬコンクリートの走行車線、分離帯、鋼のガードレール。
自然と私たちを区切る鉄柵をあえて越えてきてしまったのは
これも春だから?
恋する相手を求めて。あるいは、恋する相手や子どもたちのみやげもののために?
遠くまで、行ってみないと、と貂の心がざわめいて。