からむしの記⑥

おとといは曾祖母の七回忌だった。

こういうご時世ということで、曾祖母の息子・娘とその配偶者にだけ声をかけ、お寺で読経していただいた。
祖父が喪主だったので、母と叔母、それから私も参加した。

法要は1時間もかからず済んだ。
卒塔婆をいただき、 外へ出ると冬の晴天。
空気が澄んで、気持ちがよかった。

墓前でまたお線香をあげた。
色とりどりの花が両脇に供えられると嬉しくなる。
水を注ごうとしたら、翌朝には凍りついて花がもたなくなるからと住職さんに止められた。
白い花などはすぐに茶色くなるのだと。

お経をあげていただいてるあいだ、
祖父母や母姉妹、曾祖母の息子や娘さんはどんなことを思い出していたのだろう。
以前も書いたが、私はあまり曾祖母との思い出がないので、
一人だけ除け者のような気さえした。

「三回忌、七回忌、次は十三回忌とありますが、
供養の場というのはそれに限らず、自分達で創るものです」
法要の最後に、住職さんはこんなことを言っていた。

ということは、からむしを通して曾祖母に想いを馳せる私の一連の行為もある意味では供養になるということか。

亡き人の過去の記憶は少ないが、
亡き後でもからむしをよすがに新たな記憶を紡いでいけるということ。

曾祖母が遺したからむしを眺めながら、
それだったら私にもできそうだなと思った。よかった。

からむしの記⑥