アイコ

アイコを刈りに、小川の土手を下ってくれていた祖母。

それを知らずに、祖父と私は家にもいない、あちらのビニルハウスにもこちらのビニルハウスにも田んぼにもどこにもいないと探し歩き、ついに見当がつかなくなった。

 

「…逃げたか…」と呟く祖父。

七十年近く一緒にいて、そんなことある?と笑ってしまった。

アイコ