続・ひとしずく(習作)

その花の葉は、小鳥の風読み羽根に似て、深い銀緑色に藍がさすとても美しい色をしていました。

氷下にあってもみずみずしく、早春の肌寒さからわが身を守るようにしてくるんと丸められています。

ちょこんと真っ黄色の珠(たま)のような小さなつぼみをつけて、

その花は今か今かと今日一番の日当たりを待ち望んでいました。

雪の下の地面にも体温があるのだということを知らしめるような、目にも豊かな黄一点の彩りです。

 

ひとしずくは、長くも短い早春のときをいまだクマザサの葉の上で過ごしていました。