私の長らく叶えたい欲は、今より前後10000年分の世界中の図書館(現存していなくとも)を自在に行き来し、前後の障りなく1冊の本をたった10分で一言一句しっかり読む事ができる時空に生きる本の仙人になること。ことばの海を泳ぎ、蓄積する、そして。
そして、時々気まぐれに、半世紀かそこらしか生きていない人間と会話を交わし、楽しみ、ふっふと笑うこと。
いつかの私の手記より。
あれから幾何の時を経てか、私は犬とともにめぐる。
犬は現(うつつ)、私はヴああちゃる。
「ヴああちゃる」とは、これは最近読んだ記録の書物より拾った語で、人類の暦では比較的新しかったはず。
今の私はこれに近いのか?と仮に当てはめる。
今や家は朽ち果て、木々ばかりが茂る。その光景はどこあっても同じである。
中に入り(外と中の意図はもう打ち捨てられてはいるけれど)、紙の束をあされば読むべき何かは必ず見つかる。
今日は、日本の盆についての本を拾った。
死んだ者たちと、生きる者とのつながり方についての本である。
世界の中の日本(から2つの市)、アイルランドを抜粋し、その地における
死者への弔いと迎え方を記録してある。
4つの章に分かれて構成されており、
冒頭から順に、火・輪・歌・踊と順序づけられて各地域のそれ(盆)が紹介されている。
私は火を焚いた。
ぼんやりと眺めれば、確かにいろいろなことが思い起こされるようだ。
輪、歌、踊。
誰か、いないか。一人ではできそうもない。
犬の頭を撫でてやる。
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