花の香

花の香

火葬の朝、犬を横たえた箱をあけ、おはようと声をかけた。

ぎっしりと満たした花々の匂いがいっそう強く香ってくるが、亡骸はもう冷たく硬い。匂いもない。ああ、ブンの匂いがしない。新陳代謝の匂いがしない。

私はようやく、この犬の死を理解し、受け入れる。

八月十三日