昨日出会った女性は地質調査員の方だった。
私は安直に、地層や岩の分析とかですか?と尋ねたが
そういう分析もするにはするが、特に地熱が専門であるということだった。
地層と地層の隙間――もっといえば、岩と岩のあいだ、砂礫のすきま、もっとも細やかな砂の粒子の間をぬって立ちのぼる地球の熱。
日本アルプスの死火山群と違い、東北の山々のいくつかはいまだ休火山であって、生きているがゆえにまだ熱をもつ。
一方、同日に出会った別の女性の趣味は気球であった。
ここでも立ちのぼる地球の熱。
気球は飛行機やヘリコプターのように操作ができるものだと思い込んでいたが、
我々人間はその術をもたず、ただ風や気流を読んで流されるだけだという。
(そういえば、以前読んだ石川直樹さんの初期の著書にも書かれていたことを思い出した)
よって、趣味で気球を飛ばすのであれば、それをサポートする人々が車で追いかけて
適当な場所に降りたったのを見届けてから人とともに回収する。
気球の火の大小の調節だけで、のぼるもただようも大気の熱次第。
同じ日に、地の下、空の上、私の中に。
地球を感じた面白い日。