箇条書きの続き。
・数年前。相棒の赤犬がまだ一才にもなっていない時。家からすぐの小高い山が公園になっていてよくそこに散歩に行っていた。山頂には小さな神社があって、見晴らしのいい境内のようになっている。ある時、そこでたっぷり足を休めて犬とくつろぎ時間を過ごしていると、近くの木立から一匹のカラスがこちらを見下ろしていた。近くに巣でもあったのだろうか。それだけで済めばよくある話なのだが、そのカラスは、山頂から家に到着するまで、近くの木々や電線を伝ってずっと尾行してきたのである。犬が珍しかったのだろうか。観察、偵察。とにかく見られているなーと思いながら帰ったのを覚えている。
・カラスに家を覚えられた。というわくわく。カラスの群れの中で情報が共有され、話題に上がっていたらどうしよう。
・また思い出したのだが、別の場所でもカラスに尾けられたことがある。その時も私一人の散歩ではなく、赤犬を連れていた。こいつ、何かしましたか、しでかしそうですか。とちょっと笑えた。
・去年の六月頃。隣の家の屋根にはT字型のアンテナがあるのだがそこにカラスが留まっていた。わざわざ3羽。ぎゅうぎゅうである。よく耳にするアルトの鳴き声ではなく、高い声でくぁうかうと鳴き合っていて、おしゃべりをしているようだった。今思うと、この辺りの巣立ち鄙の兄弟とその親だったのだろう。
・コンクリート道路にくるみなどの実を落として、あるいは車頼みで粉砕を試みるカラスはよく見る。スピードをゆるめて観察していると、カラスも下手に飛び立たない。鳥からすれば、車体などは巨大動物に近しいサイズ感だと思うのだが、無暗にこわがらないのがカラスらしい。
・とはいえ、目的地まで行かねばならないので、アクセルを踏む。車が迫ってようやく飛びたつカラス。羽根をスマートに羽ばたかせて俊敏であったが、足はぶらりとして案外無防備であった。
・自宅の二階の窓からユリノキの枝ぶりが見える。葉も落ちて裸になった枝に、空っぽになった四角いプラスチックの容器がぶら下がっていた。蓋も一緒に。カラスの食事。
・庭に食べかけの柿が落ちていた。食べかけ、とわかるのは果皮は綺麗に残されて、熟した実の部分だけが半分ほど減っていたから。すぐ上の杉の木からカラスが鳴いていた。柿に未練があるわけではないと思うが。(なぜってこの庭にはまだまだたくさん柿がなっている)