小話を思いついた。
塀を挟んで。
「おめんとこの桜の実っこ、うちにばがり落ちてハ、掃いても掃いてもキリね」
「んだどもいづだがは、桜の枝っこが全部自分の庭さかかって花見がきれぇだって言っでだべや」
「花はいいのだ、きれいだもの」
「花びらさ掃くのだってゆるくねべや」
「花びらもいいのだ、きれいだもの」
「花びらはいぐで、実っこは落とすなってのも変な話だべや」
「んだあ」
「んだべ。おらほは花見ゆずっでんだがら」
「んだなは」
毎年同じような会話がくり返されるので、
ある年二人は思いついて、桜の木のまわりだけ塀をこわすことにした。
それからは毎年春になると二人で花見をし、二人で花びらや実の掃き掃除をし、
時には桜の幹の下で一緒に食事などをしましたとさ。
どんど晴れ。
↓食べられればよかったのに、と思うくらいに落ちている(写真は一部)。
種子が大きすぎて食べられるところがほとんどないらしい。鳥もあまり食べてくれない。