からむしの糸苧み、それを用いた織り・編み細工。
祖父母の集落で一番最後まで続けていた人こそ、私の曾祖母(祖父の母)だったという。
祖父母は、幼い頃から集落の誰かがからむしをやっているのを見たことはあれど結局手仕事にはしなかった。
衣服を買うのが当たり前になりつつあった、そういう世代なのだと思う。
祖父が帰ってくるまで、
祖母の昔の記憶を頼りに伐ったばかりのからむしを川に晒して待っていた。
けれどどうやら順番が違ったようだ。
本を探したら答えが書いてあるんじゃないの、とわかっちゃいるけどそれはやらない。
祖父母の記憶を通して、集落の暮らしの記憶も掘り当てる楽しみがある。
手順が正しいかどうかは実は二の次で、
人の記憶を拠りどころにして、誤った道を辿ることに豊かさを感じる。
いいまわり道。