昨日、二回目のコロナワクチンを打った。個人差によって副反応が出る。これはもはや世間の常識のようになっていたが案の定、私も熱が出た。昨晩の就寝前より気怠さと微熱。寝れば下がるだろと高をくくればぐんぐん上がり、今朝から三十九度ある。

今日は何も予定をいれなかったので、終日寝ることにする。真昼間から堂々と寝床から出ずにいられるとは何とも嬉しい。寝ろと言われて即寝ができる人間と、全く不可能な人間とがいるのだろうが、幸い私は前者である。枕元にポカリスエットのペットボトルを数本おいて、この世の至福とばかりに布団に潜りこみ、すぐに寝込んだ。

夢を見る。鈴の音がする。リリリリリン。ああ、これは妖精になったブン太郎。そう思いながら現に戻る。外で近所の中学生たちが自転車を飛ばしている。チリンチリンチリン。クラクションのように自転車のベルを鳴らし合い、遠く三叉路の向こうに消えた。

窓ごしに外を見れば夕暮れ時。たっぷり水を浸らせた水彩の青地に紅を落としたような空。庭の木立の輪郭が既に真黒い。熱は少し下がったようだが、もう少し寝床でうとうとしよう。

烏の大群。くわぅくわぅ、くわぅくわぅ。およそ百羽はゆうにいるであろう烏たちが、空を抱えて飛びかっている。いや、寝床にいるので実際には飛影は見えぬのだが、そうに決まっていると断言できるほど、やけに頭上が騒々しい。何が始まるのか、それとも、何かが終わったのか。それほどに劇的なやかましさ。

九月七日