ジギタリス

親しみやすい南国の園芸種みたいな顔をして、

調べてみればオオバコ科というなじみ深い雑草のような顔をして

背が高くいかにも美しい花を咲かせそうな顔をして

己のもの珍しさを自負しているような顔をして

ジギタリス。

 

これらの顔にだまされて左手でまんまとジギタリスを握ってしまったその瞬間。

私の皮膚はぴりぴりとした異常を感知した。

透明な繊毛のとげが手の平全体に刺さっているみたい。

皮膚の下の私は電気信号。電気信号。電気信号でいっぱいになる。

徐々にしびれと軽度の麻痺を感じる。

ぐーとパーをくり返すが、私の脳内イメージからは遅れて届くぐーとぱー。

すこぶる奇妙。