先日、亡くなった祖父が初めて夢に出てきた。
7月21日の、二度寝をしていた朝の夢。
今ではもう取り壊してしまった祖父母の家の玄関から
白衣を着た姿で出てきて生前の穏やかな調子で「よっ」と声をかけられた。義足ではなかったように思う。
おじいちゃんだ~という気持ちを胸にとどめたまま、
私も「よっ」なり頷くなりして返事をした。嬉しくて胸がいっぱいだ。
どんな会話をしたのかはあまり覚えていない。
結構長いこと、あの家の前で話したような気がする。
こんなにオトナになった私がまだ少しだけ若い祖父とおしゃべりするなんて
いろいろ変な感じだが…。まあ、いいか。夢だし。などと思った気もする。
ちょっと年が近くて、そういう嬉しさと照れくささがあった。
本当に何を話していたのだっけ。おそらくは、家族それぞれの他愛のないことを。
玄関の右横には背の高い木が空にのびていて、
よくよく見ずとも、青空にユリノキとわかった。
夢の中でユリノキにも再会したような気持ち。
ただし、このユリノキはジャックと豆の木のようにどこまでも上にのびているユリノキだった。
(現実には、この場所にはイチョウが植わっていたはずだが)
目が覚めてなんだかこれからいいことが起こるんじゃないかしら、とそんな気がした夢だった。
だからきっと祖父が顔を見せに来てくれたんじゃないかと。
あるいはこれまでの労いとか。
そのわりには全くもって形式ばらず普段通りであったのが、祖父らしいと言えば祖父らしい。
いつの間にか、子犬を抱っこしていたことも覚えている。
もらったのだったか、何だったのか。私の腕をゆりかごにずいぶんぐっすり眠っていた薄茶の子犬。
お守りみたいな夢だったなあ。
しばらくずっと、この夢の喜びさえあれば頑張っていけそうないい夢だった。