暴風警報だ

今日は朝から県内全域に強風注意報が出ていたが

どちらかというと天気予報原稿のトピックとしては黄砂であった。

いつもの概況に、一行だけ黄砂についての情報が挿しこまれていたから。

ずっと南の宮城県では、強風によって電車が止まっているという一報が紙1枚で

印刷機から吐き出されていたが、うーむ県外の在来線を盛岡でも報道すべきか迷うところだ。

県内、あるいは市内において、宮城の在来線を利用する方が今日という日にどれくらいいるか。

ほぼいないだろう、ということでこの一報は見送った。

ラジオの仕事である。

 

次の一報は、さらに南の福島駅でのこと。

架線に付着物(ビニール)があり、東北新幹線の上下線に遅れが出る見込みというもの。

これも強風のせいだろうか。これは読むことにする。

そうこうするうちに、9時43分、盛岡市に災害対策本部が設置されたというメールが

ダイレクトにスタジオに届く。

暴風警報が発表されたらしい。

気象庁のホームページで県内の警報・注意報を確認すると、

岩手県内陸部すべての地域と、沿岸南部が黄色(強風注意報)から赤色(暴風警報)に変わっていた。

 

番組の生放送は2時間半だが、今日は忙しく印刷機から吐き出される諸々の情報に

逐一目を通さなければならないだろう。

案の定、東北新幹線(東京~盛岡駅間)の上下線の運転見合わせについての情報が矢継ぎ早に手元に届くので報じる。仙台~白石蔵王駅間に設置されている風速計の規制値が超えたとのこと。

放送内では、全部で3回の天気予報があるのだが、

この日はたった2時間のあいだに大気が大きく動いて、3回分のお天気予報の概況がすべて異なる内容だった。

東北地方を通過中で………。現在は襟裳岬にいて………。

 

結局、東北新幹線が通常通り動いたのは午後18時を過ぎた後だったようだ。

暴風警報もいつ解除されたのだか。風、風、風。

黄色字が赤字に変わる境目は、私たちの移動を含めた営みに深刻な影響を与えるか否かというところなのだろう。

風を屈服させることなど不可能だ。

 

私の知人が、今日という日に件のはやぶさに乗り合わせていて、

いつ動くとも知れず数時間もの間、車内で過ごす羽目になったらしい。

ようやく都内に着いたら着いたで、電車各線にも影響があったのだとかどうのこうの。

「今日は呪われた日だ」と毒を吐いていたが、何のことはない。

すべて天気図の示す通りの出来事であって、何もかもが明らかだ。

そのちっぽけな毒すら、天上から見ている心地になった。