朝から雪がしんしんと降っていて
今日は終日世界は静かであった、
雪雲の暗さに感謝をするほど。
サイレンも何も、ましろの雪がすっかり抱えてふりつもり
世の喧噪というのは自分の意識の問題なのではないかと思うほど。
用事も何もなくなったので
家にいてもうつらうつらとし、赤犬の四本足の寝息と
おちびの四本足のいびきに誘われて私も午後じゅう眠りにつく
赤犬穂の名が若い頃は、
誰も踏み入ったあとがない雪原を求めて山に入り、
ひらけた白い景色の中で穂の名は溌剌と走り回り、
私は雪の上に寝そべってザクッザクッザクッザクッという嬉しげな振動を背中に感じながら清々しい冬の青空をからだ全体で見上げていた。
あの冬は私も穂の名も若かったのだなと思う。